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生まれて死ぬまで、       言語至上主義。


by agnesp
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半端な玄人による「ジェイコム事件」解説。

どーも。

営業から雑用に再びコンバートのP’です。
いいよ、もう何も言わねーよ!!

…皆さん今晩は。

さてさて、「目白で一番眠らない男」ことhiroyaからのリクエストです。
みずほ証券によるジェイコム株誤発注事件についてですが、

「凄いことらしいけど、何??」

という感想をお持ちの方々がほとんどかと。
俺も真相に関してはよくわかりませんし、
日経読んだ方が早いなんてツッコミも入りそうですが、
まぁ、日経よりも簡単なレベルに落とし込んで話しましょう。

株価と言うのは、
中学で習った「需給と供給」の関係で動きます。
つまり、買いたい人が多いと高くなり、
反対に、売りたい人が多いと安くなります。
なので、ここ数日の株価下落基調は、

①企業業績が軒並み高く、景気が良くなりそう。
②配当も多いだろーし、株価も上がるだろうから買ってしまえ。
③(実際に買う人が増え、大暴騰。)
④あ、正月はお年玉をくれてやらねばならん。
⑤現金欲しいなぁ。
⑥株価も結構上がったし、今のうちに売っとこうかな。
⑦(という人が増え、やたら株が下がる。)

というフローがあります。
年末によくある、「手じまい売り」とはこのことです。
日本の相場はNYダウなどのウォール街に影響されるので、
クリスマスを控えて上のフローをアメリカ人が行い、
正月を控えた日本人が真似をすると、こうなります。
「手じまい」と言うことなので、
この現象は決算期(3、9月末)、月末にも発生しがちです。


さて、ジェイコムです。
みずほ証券がやってしまったミスは知っての通り、
「1株を61万円で売りますよ」という入力を、
「一株1円(だっけ?)で61万株を売りますよ」と誤発注したために起きました。
ジェイコムの株はこの世の中には1万5000株くらいしかないので、
「から売り(後で買い戻すことを前提に、持ってないけど売る)」という現象が、
図らずも起こってしまい、
「売られた」=「人気が無い」と言う解釈のもとに、
ジェイコム株は大暴落したのですが、
この誤発注のニュースが流れると、
「あれ、なんでこんなに安いの?」と思った人たちが、
売られたジェイコム株を買いに走ります。
よって、ジェイコム株は大暴騰。
一日にして空の果てと海の底を見てきたワケです。

さて、「売ったものが買われたのだから元に戻ったのでは?」
と思っても、問題は終わりではありません。
モノがないのに売ったことになってるのですから。
みずほはこのゆがみを解消すべく、
「フツーに売った株を大暴騰時の値段で買い戻す」
という荒療治に出たため、損失がエライことになった、というワケです。

証券会社のディーラーなどは、
一日中株式チャートと睨めっこなので、
こういうおかしなモノには非常に敏感です。
ストップ安(安すぎてドクターストップ)の時に、
そういった証券会社やデイトレーダーが株を買い、
ボロもーけをしたとのコト。
証券会社は流石に、
そういうことは会社に悪評がたつということで利益返還しましたが、
個人でこういうことをする人もいて、個人市場は大変です。



さて、「中の視点」でお話しすると、
「みずほがヤバイことしたから、株価下がるべ。」
と、みんな思ってたんですが、ほどなくして、
「あ、銀行株が全体的に下がるじゃん」と思ったわけです。
なんですが、広い視点で見ると、
人が死んだわけでもなく、損したのも客ではないので、
なぜか逆に株価が上がったワケですね。
株価が下がった時、投資家心理としては、
「安くなって買いやすい」と考えるか、
「このまま下がるに違いない」と考える2タイプに分けられます。
今の日本は悲しいくらいに前者が多いので、
多少の問題は「買うチャンス」に映るらしいんですね。

さすがに、第一報の損失額が「数千億」となっており、
一年間の利益以上の損が一日で出るみたいな事も、
実しやかに報道されてました。
でも、実際は数百億。大した額ではありませんでした。
重役が頭を下げるのには十分な理由でしたが。
そのくらい、金融業界は扱う金額がデカく、
払うボーナスが少ないのです。

冗談は良いとして、こういう問題が起きたのは、
「人間同士の連絡ミス」らしいんです。
「株の4桁のコードを内線番号と間違えた」だの、
電話番号自体を間違っただの、
憶測が憶測を呼びますが、
こういった株式市場のように、客からすれば、
「機械に完全に依存しなければ成立し得ない」
マーケットのもろさが最近露呈されてきたのでは、と。
何事も結局は人間が決めるんだ、と。
株式相場が一日停止しただけでブチギレの客がいるとかで、
シビアさと言うよりも、余裕の無さが見て取れますね。
いや、別にミスを許容しろと言うのではなく(ここは妥協はいけません)、
危ないものに依存しているヒトの多さと言ったら。
何につけても間違っちゃいけない(経営方針はどうあれ)
業界にはいるんですけど、
ルールがやたらシビアになってきていけません。




造る方、使う方。
泣きたい方、怒りたい方は一体どっちなんでしょうか?
by agnesp | 2005-12-17 02:01 | サルでもわかる、金融論。